私の「子供盆おどり唄」に対する郷愁の念

北海道の学校の夏休みは7月20日頃から8月18、19日ごろまでと短い。(その分冬休みが長い)夏休みの終わりに近づいた8月13日頃から8月15日ごろまでに北海道のお盆の行事が行われます。お盆の夕暮れごろになるとどこからともなく、「子供盆おどり唄」が聞こえてきます。お寺の境内や広場で盆踊りが行われるのである。少子化が進行した現在とは違い、私が子供の頃はは子供の数も多く、連日連夜あちこちで行われていたものです。

北海道の盆踊りは前半の子供の部が「子供盆おどり唄」、後半の一般の部が「北海盆歌」の二部制が採用されることが多い。子供の部は文字どおり子供中心の部であるが、親子が一緒に踊れる部、一般の部は成人中心の部という位置付けであろうか。

「子供盆おどり唄」は昭和27年に発表され、当初札幌周辺から普及したものと思われるが、昭和30年代の末頃あたりから空知の炭鉱の町にも広がり始めたものと思われます。私は北海道にいたころは主に空知の炭鉱の町に育ったが、私が初めて「子供盆おどり唄」を耳にしたのがこの頃です。いま思えばかなり早い時期にこの歌に出会うことができて大変幸運だったと改めて思う次第です。 一般の部の「北海盆歌」も三笠が発祥の地とされています。昔から盆踊りは炭鉱地帯で盛んだったのは確かです。いまは人口減少、少子化が進み、さらには資金難などの理由で昔ほど子供盆踊りは盛んではないと思うが、子供用としては「子供盆おどり唄」が広く用いられていることには変わりはないと思われる。大人用は地域特有に音頭などが持いられることもあるようだが、「北海盆歌」がいまなお多くの地域で用いられています。

私が北海道に住んでいた頃は「子供盆おどり唄」の普及は全道的ではなかったのかも知れないが、炭鉱の町に育ったせいか、それが当たり前のように感じていて、他の曲の存在を意識することはありませんでした。東京に出てきたらまったく違う曲で、それまで慣れ親しんでいた「子供盆おどり唄」は聞こえてきませんでした。それはまさにカルチャーショックといっていいほどであった。これらの曲は北海道限定であるのを知ることになったのです。それから数10年「子供盆おどり唄」は聞こえてきたことは一度もありませんでした。内地に出てきて大変残念なことだと思っていることの一つに「子供盆おどり唄」が聞こてこなくなったということがあります。

「子供盆おどり唄」は歌詞を見ていただければわかるかと思いますがで童謡風であり、実際に聞くと「手拍子そろえて シャシャンがシャン」というお囃子が印象的である。だがこの箇所の歌詞は誰もが「手拍子そろえて チャチャンコチャン」さもなくば、「手拍子そろえて チャチャンがチャン」だと思っているのも面白い。実際私もそのように聞こえたし、そう思っていました。

また北海道人であれば誰でも知っている曲でありながら、ほとんどの人が正式曲名を知らないのである。「北海盆歌」の子供版ぐらいな認識なのであろう。私もいま調べてやっと「子供盆おどり唄」が正式であることを知ったぐらいです。いままで私は夏に帰省したことがなく、この曲を聞く機会がありませんでした。でも私は毎年この時期になるとこの歌を思い出します。遠くから盆踊りの曲が聞こえ出すと思い出すからです。もちろん「子供盆おどり唄」が教科書にあるわけではない。学校で習ったような曲はほとんど記憶に残っていませんが、むしろ「子供盆おどり唄」のほうが心に刻まれ後々まで忘れることはありませんでした。北海道に住んでいる人なら当たり前に感じる曲も、北海道を離れることによって深い郷愁を感じるのです。

北海道の盆踊りは前半が子供の部ということで「子供盆おどり唄」1曲のみが延々とエンドレスで繰り返されます。開始直後は参加者はまばらですが、終わりに近づくにしたがって参加する子供たちがどんどん増えていきます。また大人は恥ずかしいので最初は眺めているだけですが、あまりにノリのよさに途中から大人も加わってくるのが常でした。終わった時点で参加者した子供たち全員にお菓子が配られます。要するに参加者は踊りたいというよりはお菓子がお目当てなわけです。たったお菓子でというかも知れないが、今の豊かな時代に都会に住んでいる子供ならお菓子ぐらいで動かされないでしょうが、私が子供の時代の北海道はまだ貧しく(いまも貧しい?)、お菓子がもらえるというだけでも大変嬉しかったものです。

そこで「子供盆おどり唄」の録音は手に入らないかと思い調べてみることにした。初版は昭和27年5月発売でした。もう50年以上も経ちます。2002年にキングレコードから発売されたカセットが最後でした。この曲が入ったカセットが届いて聞いてみた。数10年ぶりに聞くこの歌で一番着目したのは、「シャンコシャンコシャンコ シャシャンがシャン 手拍子そろえて シャシャンがシャン」というお囃子の部分がどう聞こえるかである。多くの人が「チャンコチャンコチャンコ チャチャンコチャン 手拍子そろえて チャチャンコチャン」と思い込んでいたようだし、私もいままでそう思い込んでいたのである。確かに漠然と聞いてみるとそのように聞こえます。しかし落ち着いてじっくり聞くと正しい歌詞どおりに聞こえました。こうやって懐かしい「子供盆おどり唄」を聞いてみてあらためて思うことは、昔からの清らかで愛らしい鈴の音「シャンコシャンコ」は北海道の貴重な児童文化財として将来に継承していかなくてはならないと思うのである。






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